無糖バニラ


あんなことがあったばかりだから、教室に入りづらい。

ちょうど休み時間。
この騒めきに紛れて、何事も無かったかのように中に混ざれないかな……。


少しだけ扉を開けてそーっと覗き込んでいたけど、意を決して教室に飛び込んだ。


あたしひとりが現れただけで、教室中がワッと沸く。


「このはちゃん、平気?ちょっと腫れてるよ」

「大変だったね」


心配して寄ってきてくれる人たちや、遠巻きにコソコソ噂話をする人たち。

あたしはどうしたらいいか分からなくて、愛想笑いで返す。

あたしを殴った女子は……、いないみたい。
帰ったのかな。


「内海、大丈夫?」

「あ、小嶋くん……、うん、ありがとう」