無糖バニラ

先生が再び保健室から姿を消して、ほどなくしてチャイムが鳴り響いた。


「……」

「……」


先生もいなくなったから、さっきの続きを聞かせて。……なんて言ってもきっと、だめなことは分かっていた。

こんな、すぐに第三者が戻ってくるって確定している状況で、気軽に話せることなんじゃないって、知ってるから。


だったら、せめて。


「翼」

「ん?」

「先生が戻ってくるまで……、もう少しいてほしい」

「……うん」


翼は再び目の前の椅子に腰を落とす。

翼が手を伸ばして、あたしたちは何年かぶりに手を繋いだ。

握るだけの、幼い繋ぎ方で。