無糖バニラ

「お大事にね。保健の先生が来たら、保冷剤とか借りるといいと思うよ」


仁奈は小さく手を振り、保健室をあとにした。

扉が閉まる音がして、それを最後に保健室が静寂に包まれた。


「……」

「……」


何であたしとふたりきりになりたがったの……?

喋らないし。

頭に乗った手が、温かい。


「……なんか、びっくりする。慣れない。ずっとあたしのこと名前で呼ぶから……」

「自分で言ったんだろ。昔みたいのがいいって」

「昔は、名前呼ばれたくらいじゃ、ドキドキしなかったもん……」