連れてきてもらった保健室は、無人だった。
保健の先生すらいない。
「今の時間って、職員室で朝礼なのかも。あたしがやる!芦沢くん、そこの椅子に下ろしてあげて」
仁奈に言われるままに、翼はあたしの体を近くの椅子に下ろした。
「ありがとう、運んでくれて……」
「別に」
お姫様抱っこをされていた時よりも、少し冷静になった今の方が恥ずかしい。
頬の痛みも、少しずつ戻ってきた。
ジンジンする。
「救急箱、勝手に使っちゃってもいいよね。こっち向いて、このは」
テキパキと用意した仁奈が、あたしの目の前に座って、消毒液をこちらに向けた。



