翼もあたしに気づいて、パチッと目が合う。


「お、おはよう……」


いくら顔を合わせづらいからって、朝のあいさつを欠かすのは気が引ける。


「ああ」


たった2文字。
分かっていたことだけど。


先に学校に行こうとしたら、翼がごそごそとカバンの中に手を入れて、何かを取り出した。


「このは」

「……、……えっ?」


今、すごくあっさりと名前を……。


「ほら」

「ん?」


そして、カバンから取り出したばかりの小さなラッピング袋をあたしの手に渡した。