無糖バニラ

あたしは、小嶋くんの彼女なんだし。

今日だけで、これを何回言い聞かせただろう。


「……うん。次はどこに行く?」


そうやってあたしが笑顔で返すと、小嶋くんも笑ってくれて、結局帰るまでに次の約束の場所は決まらなかった。


家まで送ってくれた小嶋くんの背中は、たった今歩いたばかりの道を逆戻りしていった。

やっぱり、悪いな……。こんなふうに、帰り道が違うのに送ってもらうのは。

こんなに、罪悪感ばかりが残る理由は、ちゃんと分かってる。


ため息をついて、家の中に入ろうとした時。


――リンリーン。

お隣さんの、正面玄関が開いた。

焦っているような表情を覗かせたのは、翼ママ。