無糖バニラ

翼は、仁奈から逃げてるの?


「んー、まぁいっか、別に。あー、疲れた」


のんびりと自己完結した仁奈の声が遠ざかっていく。

あたしは、翼の手を剥がして、「ぷはっ」と大きく空気を吸い込んだ。


「い、行ったよ、翼。てか、何であたしまで隠れなきゃいけないの……」

「あー……。……そこにいたから」

「なにそれ、もう……」


これ以上近くにいたら、変になる。

早く離れなきゃ。

仁奈から逃げていた理由は知りたい。

でも、今は。


教室の扉を開けると、


「あれっ、小嶋くんどうしたの?急いでる?」

「!!」


仁奈の言葉に、姿を確認する前に、バシンと扉を閉め直した。