無糖バニラ

気まずく思う暇もなく、突然翼に腕をつかまれ、あたしたちはすぐそばの空き教室へ。

声が出せないのは驚いているせいだけじゃなくて、翼に口を手で塞がれているから。

な、なにごと……!?


首の後ろから腕を回され、まるで抱きついているみたいに口を塞がれている。

顔が熱いのは、苦しいからじゃない。


そんなあたしに見向きもせず、翼は教室の外をそっと伺っている。

何かから逃げてる……?


廊下を横切る足音が聞こえる。


「あっれー?芦沢くん、どこ行ったんだろ」


この声は……、仁奈?