無糖バニラ

グループから遅れて、のろのろ歩いていたら、いつの間にか前方には誰もいなくなっていた。

いいや、別に。
あとはもう帰るだけだし。

帰る……だけ。

それが、目下(もっか)の悩みなのだけど。

うんうんうなっていたら、バタバタと後ろから忙しなく走ってくる足音に気づいた。

その人は、あたしを追いこして、


「――っ」


すれ違う瞬間に、目が合った。


「翼……」


名前を呼ぶのと、翼が立ち止まってこちらを向いたのは、どちらが先だったのか。