無糖バニラ

「あっ、わっ……、た……」


手を引いてもらっても、あたしの滑りがへたくそなことには変わりない。

ヨタヨタの足元を見ながら、焦る。


「下見んな。前見ろ。また転ぶぞ」


翼が短く忠告してくれるけど、現状は同じ。

上手い人は、簡単にそんなこと言うけども。


「だ、だって、前ってどこ?どこ見てればいいの……」


自分の足が不安定で仕方ない。

翼に導かれたほんのちょっとの距離でも、ひとりだったら何度転んでいたか分からない。


「俺を見ろ」


顔を上げる。


「俺だけを見てろ。それだけでいい」