あの日からずっと、翼の笑顔を思い出しては、何だかどうしようもなく胸が苦しい。

笑ってくれたことが嬉しくて。

なのに、すぐに涙が出そうになる。


この変な気持ちの正体が分からなくて、困る。


翼はもう行っちゃったかな。

あたしよりも早起きな方だし。

……少しだけ、待っててみようかな。

それで、並んで歩いて、駅まで……。


「……」


……まただ。

夏の暑さにやられちゃったみたいに、あつい。


いいや、多分もう行った!
そういうことにしておく。

あたしはひとりで駅に行く。

そう決めた時だった。