はぁー、と脱力したように、翼が窓枠に崩れる。


「大丈夫!?体辛いなら、無理に来てって言わないから……」


あたしが慌てて翼の額を触ろうと手を伸ばすと、その手を強い力で掴まれて、真剣な眼差しと目が合った。


「行くよ」

「ほ、ほんと?」

「ああ。別にお前のためとかじゃなく……、今日のプリンのお礼」


その、微妙に素直じゃない返事に嬉しくなって、あたしは自然と笑みがこぼれた。


「ありがとう、翼」


手が離され、代わりに額に優しく手のひらが落ちてきた。


「バーカ」


あたしにつられたのだろうか。

さっきの「バカ」とは全然違う。

それは、やわらかな笑顔。


間もなくして翼の部屋の窓が閉まって、あたしはその場にへたりこんだ。


さわられた額が熱い。


「あ、あれ……?」


あたしの鼓動は、こんなに速く奏でていただろうか。

この気持ちは……――