無糖バニラ

まだ先生が来ていないことを祈りながら、仁奈と教室に入ると、願ったとおりになった。

よかった。遅刻にならなくて。


安心したのもつかの間。

あたしたちを見て、妙に教室中がざわざわし始めた。

なんだろう。遅れて入ってきたから?


「ねぇ、このは、今の時間自習だって。ラッキーだね」


仁奈が黒板を指さす。

そこには、白いチョークでデカデカと『先生は急用につき、自習です。』の文字が。

その代わりにというように、教卓の上にはプリントの束が乗っていた。

なんだ、じゃあ急ぐことなかったのかも……。


自分の席に向かおうと歩くと、あたしの動きに合わせてたくさんの視線が後を追ってくる。


“あたしたち”を見てざわついてるんじゃない。

中心は、“あたし”だ。