無糖バニラ

呼ばれたのは翼だけど、あたしも一緒に振り向いた。

ギョッとして、つい身を退いてしまったのは、そこにいたのが本田さんだったから。


昼休みでのことが、一瞬で脳裏を過ぎった。


「なに?」

「ここではちょっと……」


あの時とは打って変わって、翼の前ではしおらしい態度。

あたしには思いっきり力を込めて壁ドンしたくせに。


「俺、今日急いで帰んなきゃダメなんだけど」


翼の中での優先順位は、本田さんの話よりも家の手伝い。

それは言うまでもなく、この振る舞いを見れば丸わかりなんだけど……。


なぜかあたしが睨まれている。