無糖バニラ



「このは、帰るぞ」

「うん!」


放課後。
翼に帰宅を促され、あたしは元気に席を立った。

やった。家に帰れる。

学校さえ出れば、そこから先はあたしたちふたりきり。

緊張することも、遠慮することも、怖がることもなくなる。

翼は、「このはは気にしなくていい」って言ってくれるけど……、それはやっぱり難しいから。


「お腹減ったね、翼」

「はいはい、そんな催促しなくても、母さんがちゃんとお前の分のお菓子用意してるって」

「やった。しっかりお店手伝うね」


そんな会話をしながら、教室を出ようとした時。


「翼くん、ちょっと話があるんだけど」