* あれが現実に起きたことだったのか、あたしはまだ翼に聞く勇気がない。 夢だったのかな……。 あんなに鮮明に覚えているのに。 甘い香りのキスを。 確かなことは、あれ以来翼があたしを「このは」と呼ぶことはなくなった。 毎日のように一緒にいたのに、目も合わせてくれない。 そして、あたしは腕を隠すようになった。 シャツの上から、腕をさする。 なんで謝ったの。 ……翼のばか。