考えてみたら、先輩ともそれらしいデートをしていない。


正真正銘、生まれて初めてのデートだった。


夜も眠れず、寝坊仕掛け。
あんな奴でもドキドキ。自分から言い出しておきながら。


この前以上におめかしして、樹荏と駅前のファストフードで待ち合わせした。


腕を絡ませてきた樹荏に、


「逆!!せめて繋いで!!」


本当に慣れていないのだと改めて可愛いと思ってしまった咲希。


映画を見て、ゲームセンターで遊び。本当に高校生のようなデートを楽しんだ。


「好きやで、咲希」


プリクラ機の中で抱き締められ、キスされた。


カシャン、とカメラに収まってしまった。


「記念や!!絶対消させへん、捨てさせへん」


結局そのままプリントアウトされてしまった。


帰り際、家の近くまでタクシーで寄ってくれ、もう一度、キスをせがまれた。


何度も、言葉にしてくれた。


「好きやで、ありがとうな」


じんわり温かくなった咲希。