――そして日曜。


「あっ、旦那や!!」


練習試合でコートに集まっていた部員の元に、どう見ても中学生くらいの少女が、樹荏を見つけて走ってきた。


正面から、ぴょん、と飛び付くと頭のてっぺんで束ねた天パの髪を揺らせて、その唇に熱いキスをした。


「えっ…」


周りの空気が止まる。


「会いに来たよ、旦那」


「だん…」


少女は咲希に気付くと、


「私、瀬良(セラ)たまこっていいます!!丞さんとは、幼馴染みで婚約者です!!」


ここにもいた。婚約者が。


「違うっちゅうねん!!お前、適当なこと言うな!!」


樹荏が赤くなって焦る。


「違うからな!?地元の近所の子や!!って、何でここにおんねん!?」


「だって、今日はウチの学校と練習試合やで??私、副キャプテンしてんねん」


「てことは少なくとも高2で、咲希と対戦するってこと???」