あたしが羊佑に興味を持ったのは、天川先生が好きだと知ったからだ。
その強い想いに惹かれた。
誰かを思うこと。誰かに思われること。
あたしは経験したことがない。
その想いがあたしに向けられることなんてないのは分かっているけれど。
「一途なとこ、ですね。そういうの羨ましいなって思います」
「……良い子よね、本当。神津さん、諦めないでね」
突然、鞄の上に置いていた手に先生の手が重なった。
あたしの手は冷たくて、先生の手は温かかった。
出来るなら花に生まれたかった。
「幸せになりたいって思うより、幸せにしたいって思う方が、気持ちは強いのよ」
台所にいた。見慣れない台所だった。
白いまな板を取り出して、洗ってあったトマトを切る。



