毛布症候群


なんだっけ、数学が好きでお人よしで人気者。
思い出せば出すほど羊佑に当てはまっていく。

「先生のその好きなひとは、何やってる人なんですか?」

「ここのふたつ先の駅の近くの塾で講師やってるひと。今年は三年生があたって大変だって嘆いてたっけ」

ということはどちらも生徒を相手にする職業なのか。
揃ってすごいな、と心の中で感心してしまう。

「荻野くんのどんなところが好きなの?」

携帯をしまってちょっと楽し気な笑みを見せる。マオと同じ表情だ。

「どんなところって」

あたしがそれを聞きたい。天川先生が羊佑のどこを好きでどこがダメなのか。
どうしたら羊佑の方を向くのか。

考える顔をして窓の外を見た。窓に細い線となって雫が流れる。