それはきつい。今、その先生がいなくて心底良かったと安堵する。
「体育始まる前にへとへとよ」
その言葉に笑った。同じこと、マオも言いそうだ。
駅について天川先生が傘をとじた。ぱたぱたと軽く振った雨粒が乾いているアスファルトの部分に斑点を付ける。
「ありがとうございました」
「いいえ」
とは言ったものの、先生とは地元が同じだったのを思い出した。ここで別れるわけじゃない。
先生はあたしと同じ電車に乗ると分かっていたらしく、定期を鞄から出した。
この時間の電車はちょうど空いていて、隣合って座る。
先生は携帯を取り出した。
「ごめんね、ちょっと夕飯どうするのか聞くね」
あ、同棲しているらしい人にかな。あたしは小さく頷いて対面に貼ってある広告に目をやった。



