野菜ジュースを飲んで、あの先生のことを思い出した。
「文系のマオちゃん、現代文の若い先生わかる?」
「男と女どっち?」
「女」
「天川先生じゃない? 確か25」
先生の年齢まで覚えているマオを尊敬する。一体何に使えるのか分からない情報ではあるけれども。
お弁当に入っているミニトマトを頬張る。噛むと中身が弾けた。
「うちのクラスの担当じゃないけど、なんで?」
「夢にでてきた」
「誰の?」
マオはあたしが他人の夢をみることを知っている。
スニーカー特集の載っているファッション雑誌を膝の上でペラペラと捲っていたマオの手が止まった。こちらを見ている。
黙るあたしを見ている。



