「講座の」

「おお、ありがと……?」

羊佑の視線があたしの後ろへいく。気になるのはわかる。わかるけど、気にしたら負けだ。

「小塚も、おはよう」

ああ、とあたしは頭を抱えた。

「おはよ、いやーうちの硝子がお世話になってますう」

「あ、うん」

「世話になった覚えがないのですが」

「だって、恋愛活動の出汁にしてくれたらしいし?」

マオがあたしの肩に肘を乗っけて微笑む。油を売りにというより、喧嘩を売りに来たのかも。

脇腹を小突こうとしたけれど、その前に羊佑が笑った。

「うん、そうだけど。本当に神津と小塚って仲良いな」

「褒められちゃったー、どうしよう」

「どうもしない」