思春期、誰もが難しい時期だと言う。その中であたしは捻くれて捩れてついに仰向けでは眠れなくなってしまった。

不眠が続いて学校では友達とはあまり接点を持てなくて、心配した両親が御梶間先生に電話をした。

先生は前と変わっていない。ノートを広げてあたしの話に耳を傾ける。

最初に会ったとき、あたしは勿論自分から口を開かなかった。聞かれたことに対して他人事のように答える。
それは自分を傷つけない方法のひとつだった。

冗談半分に言葉へ還元する。本気の答えが返ってきても嘘の答えが返ってきても、直接的に傷つくことはない。

あたしはあたしを守るのに精いっぱいだった。

「好きなひとはいる?」

その問いを聞くまでは。


「じゃあ硝子ちゃんはその羊佑って子を応援しているわけだ」

さらさらと書きとっていく。