御梶間先生は声に出す。言葉にすることによって誰かに情報を共有する。自分一人で背負わない為の方法。
あたしは右向かいのテーブルに座る男女を少し窺った。普通に食事をしているだけで、何も起こりそうにない。
「最近、どんな夢をみますか?」
いつの間にかテーブルにノートを広げている。あたしは視線を戻して、頭を切り替えた。
店員さんは忙しくレジやテーブル間を行ったり来たりしている。時折近くを通る香ばしい匂いにお腹の奥が刺激される。
「最近見たのは、同級生の夢。保健室で眠ったら、隣のベッドで眠ってて」
「へえ。どんな?」
それから、かいつまんで羊佑の話をした。ちなみに御梶間先生はマオのこともよく知っている。あたしが話してるから。



