特に妹の恋愛関係に首を突っ込む気も口を出す気もないけれど、隠されると気になる。徐ろに携帯を出して、電話帳を開く。
「ちょちょっと、何するの」
「お母さんに、玻璃が塾に行ってないって」
「先生だよ先生!」
腕を掴まれて主張された。
「……先生?」
「塾の。一学期で辞めちゃうから」
離された腕。携帯を鞄の中に戻して、ふうんとだけ返す。先生、ね。
そういえば、月曜日は講座だけれど図書準備室の掃除はどうなるんだろう。あたしは羊佑の連絡先を知らない。
「一学期で辞めるって、どうして? 三年生担当なら春まで居た方が良いんじゃないの」
「ううん、二年担当の先生なの。去年担当だった。なんか家業? を継ぐんだって」



