羊佑が笑った。 「神津ってさ」 「ん」 「人を好きになったことねーの?」 ああ、ほら。 柄にもなく自分を守ろうとしたから。 「ない」 思わなかった方向からぶすりと刺される。 コーヒーショップでマオが勉強していた。 夜七時。八時までは家に帰らないマオ。 地元で中学の同級生と会うのがどうしても嫌だと言う。 「何だよ、びっくりした」