「うそ」

「何だよ」

「今後気は遣わない。あたしが聞きたかったのは、恋するのって楽しいかってこと」

羊佑を見た。辺りは暗くなっていることが色白なのを際立たせている。本人が気にしているかもしれないと思って、勝手に言えないでいる。

正直、天川先生とお似合いだと思った。

生徒と教師の関係であっても、歳の差がどうであっても、恋をするに当たってそれが重要なことなのかイマイチあたしにはよく分からない。

「苦しいことの方が多い」

教科書に乗っているような答えに、笑えば良いのか迷った。笑ったら羊佑が傷付く気がした。

話すようになって数日、何度も傷付けたのに。

「じゃあやめれば?」

明日もきっと晴れる。
空に星が瞬いていた。