夢の中にいつもあたしは居なかった。

「先生が破産しない程度のものは買ってくれるらしい」

「ちょっと荻野くん、上限は200円だからね」

「予想以上に低かった……」

先生がクスクスと笑う。「神津さんは300円までオッケーよ」と付け加えた。

結構良い雰囲気じゃないか。羊佑のただの一方通行だと思っていたから。
ここは空気を読まなくては。

「あたしは結構です、早く帰らないといけないので」

「遠慮すんな」

食い気味に言われて肩を掴まれた。変な気を回すな、というオーラが出ているのを感じる。
それに圧倒されて小刻みに頷いてしまった。

「遠慮はしなくて良いけど、どうして荻野くんが言うのよ」

先生が呆れた声で言った。