へえ、と返答のようなよく分からない言葉がくる。

「知ってるっていうか、神津と大抵一緒にいるの小塚だろ?」

「君があたしのストーカーかよ」

「じゃなくて、傍から見ても二人の世界形成してんだよ」

それは、よく言われる。
あたしじゃなくて、マオがよく言われると言われていた。

あたしと居るときは近づきにくいらしい。あたしも近づいてきて欲しいわけではないし。

パイプ椅子から立ち上がってバケツの前にしゃがむ。

「もしかして、小塚が知ってたとか?」

棚の下から覗く栞紐。引っ張ってみたら、羊佑が探していた五巻が出てきた。

「何を」

それを羊佑に差し出す。