レポートを書いて提出しないと帰れない。同じ実験台を使っていた二人は既に終わって帰っている。

「早く描いてよ、マオ」

「はいはーい」

軽く返事をして顕微鏡を覗く。あたしは自分の名前を記入してペンケースにシャーペンを入れた。

マオが描き終えたので片付けて実験室を出た。廊下を歩いていると、マオが窓の外を指差した。

「噂をすれば」

ほらほら、と勧めてくるのであたしも窓の外を見る。噂と聞いて予想はしていた。

天川先生と羊佑。

きっと、今日の放課後、図書館の地下にある準備室の掃除にあたしも連れて行くことを話してるのだろう。とか思っていると、溜息を吐きたくなる。