マオがプレパラートを二枚割ったことは事実だ。それなのにどうしてあたしが窘められているのか、納得がいかない。
「そんなに嫌なら断れば良かったじゃんか」
二人一組でペア。出席番号では大体、あたしの神津とマオの小塚でペアを組むことになる。二年に上がってからずっとこうなので、気を遣わない者同士助かっている。
「てか僕が代わりに行きたい」
「そうして欲しいくらいだわ」
「でも野郎二人で行ったら先生怯えるかもしれないし、やっぱいいや」
怯えるって、天川先生に何するつもりなのか。
憂鬱なあたしに比べて、楽しそうなマオ。他人事だと思って。これで八つ当たりをしないでいられるか。
調節ねじを回してピントを合わせていく。ユキノシタの裏面表皮細胞がよく見える。



