張っていた気が緩む。はは、と口から息が漏れた。

「神津?」

「関係ない」

勝手に伝染ってきたのはそっちの方だ。あたしは知りたくなかった。
プリントを鞄の中に突っ込む。え、と羊佑の戸惑う声が聞こえた。

「君には関係ない」

吐き捨てた。

捨てるのは貰ってくれる人がいないからだ。
貰ってくれないのは要らないからだ。

立ち上がって教室を出た。講座の先生とすれ違って怪訝な顔をされたけれど、会釈をして靴箱へ向かった。雨が降っている。

誰の涙なのだろう。

泣いてしまうのは、傷つけたから。
それとも傷ついたから?