マオの言うとおり、外部の講座だから授業料を支払ってまでここへ来る生徒は結構な物好きだと思う。普通なら予備校へ行く。

「……やりにくいんだけど」

最後の式を書いて計算、というところで隣に座る姿が見えた。無視しようとしたけれど、こっちを凝視しているのを感じた。

「以心伝心できるかなと」

「君、実は宇宙人なのか」

「反対。神津がだろ」

計算を終えて、羊佑の方を見た。

あんなに顔を強張らせていたくせに、よくあたしの隣に座ったものだ。

人差し指を上に立てる。ひとつ、と羊佑は話し始めた。

「神津硝子は情報通である。誰かから俺の話を聞いていた」

ひとつということは、ふたつめもあるのかもしれない。