マジか、と肩を震わせて笑う。その振動が髪の毛に伝わってきた。
「その時の顔見たかったなあ」
「話したこともないくせによく言う」
いや、マオはきっと羊佑に会ったら初対面だとしても前からの友達のように話しかけるだろう。平気で「よーすけ!」と呼びかけそう。
ゴムが留まる音がして、マオが隣に座った。
放課後の駅前のチェーンカフェ店。あたしはソイラテ、マオはロイヤルミルクティーを飲んでいる。
「硝子のライバルは僕のライバルと言っても過言じゃないし」
「過言でしょう」
「てか、羊佑は天川先生のこと本気で好きなんだ? すごいよね、ある意味」
ある意味。
その言葉に引っ掛かる。マオは外に目を向けていて、向かいのビルの看板のモデルに定まっていた。



