毛布症候群


自分の短い髪じゃ出来ないからと、あたしの髪を弄り始めた。これが始まると長いのは経験上よくわかっている。

「数学二位の人でしょ。模試結果貼り出された時に、よく硝子の下にいる」

「マオってよくそういうの見てるね」

「いや、化学で僕の下にいる奴なんて覚えてないけどさ。そいつ、名前に羊入ってたから珍しいなって思って知ってた」

ここでも羊。化学が出来て自分を文系と言い張るマオの親は、有名な服飾デザイナー。

だから羊、なのかもしれない。

「じゃあ羊佑は打倒硝子ってことで近付いてきたわけか」

「さあ? もう近付いてこないと思う」

「なんで」

「天川先生のことバラしちゃったから」