パンッ!! 音。 どんなに夜の街でうるさくても、 耳に入る、音。 こんなの、ドラマとか、運動会とかでしか聞いたことがない。 「…………なんだ?」 俺と麗は顔を見合わせる。 「ケンカだーっ!」 どっかの店の店員ぽいおっさんが走ってくる。 聞き慣れない音に驚いていた夜の町の住人たちは、その声だけに集中する。 ケンカ? そこで最近、よく聞いた単語。 俺たちは何を言うでもなく、 同じタイミングで、音のした方向へ走りだした。