やっぱり、何がなんでも、伊紅とあの二人を、引き離すべきだった。



「ケンカじゃ私、伊澄には負けない」



僕だって伊紅と一緒に習い事はいつも空手を選んでた。

二人で休まず道場へ通って、
大会ではいつも決勝で当たる。



伊紅が駆け出す。

僕は蹴りを受けようと、構えを取ろうとした……………けど。



フワッ



伊紅は想像以上に飛び、僕の肩に手を付いて壁を蹴り、僕を飛び越えた。


「伊澄。美郷、大事にしてね」


耳元でそうつぶやき、
伊紅は全力で走りだした。


僕は一瞬遅れを取った。
たぶん、もう伊紅には追いつけない。



でも、追いかける。



伊紅は僕の『半分』だから。