「他人を思いやって、強く怒れないとこ。 顔も、怒りきれないで、若干眉が下がるとこ。 そのお前の声も、昔よりもずっと好きだ。」 夏葉の言葉に、仕草に、目が惹きつけられる。 夏葉が、唇を私の耳に寄せる。 「ゃ………………っ」 「伊紅の全部が、好きだ」 耳元で、そう囁いて。 「んっ……………!」 また、キスをする。 強く、強く。 私の全部を、その唇から吸いとるように。