「夏葉っ………?」 ちがうだろ。 昔はそんな呼び方、しなかっただろ。 なんでこいつは、こんなに思ってるのに、 気付かない? 思い出さない? むかつく。 知らない。 こいつがなんて思ってたって。 「夏葉…………」 お願いだ。 もう一度でいいから、 俺を見て前みたいに笑え。 お前は、俺のだ。 俺は、伊紅の肩を塀に押し付けて、 「なつ………っ」 伊紅の口を、塞いだ。