「……紅、伊紅!!」


「…なに、伊澄。」



夜、窓から出ようとしていた私に気付いた伊澄。



「毎晩どこ行ってるの!
あと、何で学校行ってないんだ!」

「……………」



「伊紅!」

「………うるさいなぁ」



あんなに大事だった家族ですら、

今はすごく鬱陶しい。



気付かなかったじゃん、伊澄。

だれも、私の嘘に気付かない。



お父さんも花ちゃんも、
本当の私を見ようとしなかった。



「伊紅!」



ヒラリと窓から地面へおり立つ。





もう私は、伊澄とは違う世界にいるから。