こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!



恐る恐る、右耳に手を添える。



ーーーードロッ……


手には、真っ赤な真っ赤な、血。


(………いたい)



「うわやばっ!」
「何やってんだよお前ー!」
「みんなでやろうっつったろ!」

「櫻木、血が出てるー!」


みんなが、ザワザワとする。



私は呆然として、ジクジクと痛む耳を抑える。



そのとき。


さっきの、シンバルを鳴らした男子がティッシュを持って近づいてくる。



そして。


グッ!



「痛っ……!」


ティッシュを強引に、私の右耳にねじ込んだ。



「このこと。誰にも、言わないよな?」



は?

うそでしょ?


誰にも見せるなって言うの……?


すると。


「櫻木。誰かに言ったらマジ、俺ら今までよりひでーことしちゃうから」


「伊紅ちゃんは言ったりしないよね?」

「もっと痛い目見るの、嫌でしょ?」



何言ってるの?

この人たちは。



クラス全員で、私に言ってくる。




「………………うん。」



また。
また、負けてしまう。



(痛いよ、助けて、ー、ーーーー。)