外は、酷い雨風。

目の前にはタクシーが待っていて、佐藤さんと乗り込んだ。

タクシーの運転手にラブホ街までと簡単に告げ、彼は志乃の手を取り指を絡め引き寄せた。

あっと思った瞬間、佐藤さんの胸元に飛び込み抱きしめられていたらしい。

ドキドキして顔を上げると、塞がれる唇。

啄ばんだり、舌先で舐められたりとじれったいキスに夢中になっていた志乃。

まるで恋人同士がする甘いキスだと思ったらしい。

それが間違いだったのよと声を荒げた志乃に、ビクッとふるえ、飲み始めていた缶ビールが溢れた。

とっさに、ティッシュペーパーを何枚も引き抜き溢れた床を拭く私を無視して志乃はしゃべり続ける。

ホテルに入り、何度も身体を重ねた。

甘いキスと絶頂に導く指先。
そして、志乃と呼び捨てにする佐藤さんの声が何度も可愛いと囁く度、このまま
2人の関係が続くと…

朝、目覚める隣には佐藤さんがいて昨日の甘い余韻を残したまま、恋人にするように何度もキスをして、素敵だったよと囁いたらしい。

そこまでされたら女の子なら勘違いするレベルだ。

それで、佐藤さんがシャワーを浴びている隙に、朝早くから電話してきたということだった。