杏奈といる時間は楽しくて、側にいるだけで和む。

一緒に笑い、ケンカしてもすぐ仲直りして、お互いの温もりを感じれるようにくっついて、朝を一緒に目覚めたいと思うほど重症だと思う。

だから、杏奈に振り回されぱなしの時間も悪くないと思えるぐらい彼女を溺愛しているのは確かで、恋人同士になってまだ日が浅いが、俺のテリトリーに彼女を招き入れたいと思ってしまった。

渡す予定なんてなかった部屋の鍵はキーケースの中にあり、それをいつ渡そうかとタイミングを計っていた俺。

杏奈が、館内巡りをしたいといい出した時も、袖の中に持ち歩いていた。

途中、お土産店を見つけた杏奈は買い物に夢中になりだし、俺の事は眼中にない様子。

俺も、ぶらっと店内を見て回りキーホルダーのコーナーに目がいき、鍵に何もつけずに渡すのも味気ないと考えていた。

従来の俺なら、そのまま渡していただろう…

プレゼントなんだから、リボンぐらいつけないとな⁈と思うなんて、自分の変化に笑ってしまう。

荷物持ちをしていた俺にカゴをくれた店員にお願いし、こっそりとリボンをもらえる事に成功した俺は、彼女に気づかれないようにリボンを鍵の穴に結んだ。