「なんだぁ、その顔は?俺がいたらイヤなのかよ?」

凄味のある声と整った顔で睨まれて、肩に置かれた手にぎゅっと力が加えられた。

「…そうじゃなくて…驚いただけ…」

だって、そうでしょう⁈
さっきまであなたが綺麗な女の人と買い物を楽しんでいたのを目撃してから、まだ1時間ぐらいしか経ってないのよ。

ここにいる事に驚くのは当たり前でしょう?

「ごめんね‥驚かしたよね。志乃が今日は杏奈ちゃんと久しぶりに会いたいって言ってたから、それなら俺は恭平と久しぶりに飲もうと思って声をかけたんだ。で、どうせなら合流しちゃえって思って来たんだ」

人好きのする笑顔で佐藤さんは微笑んでいるけど…その笑顔胡散臭いです。

初めから企んでたんでしょう?

佐藤さんは、私の疑いの眼差しを無視して、志乃の頭部にキスをしてサッと椅子に座ってしまった。

志乃は、『もう』といいながらも頬を膨らませて嬉しそうに微笑んでいる。

思わず、ごちそうさまです…と言いそうになる私の頭部にもキスがおりてきた。

驚いてキスした本人を見れば、先ほどまで不機嫌だった人。

「驚かせて悪かったよ。機嫌直せって…」

機嫌が悪かったのはあなたでしょう?