「訊き忘れたこと?」 「図書準備室で、お前の片思いの男とどうだった?」 「どうだったも何も」 わたしの頬を両手で挟むと「あっちょんぶりけとかされたんだろ?」とニヤニヤしながらヨウは言った。 「ふぉっ?」 間の抜けた声が出る。 ていうかツナ缶は、あんたのためにわざわざ買いに行っただけだし。 夜道歩くなとか言える義理じゃないし。 そういう冷やかしも、バカにしたいだけだし。 「されるかーっ!」と、ヨウにツナ缶を投げつけて走っていた。