《昨日は幸彦の生徒2人と話をすることができた。


幸彦が学校でどんな先生だったのかが知れて、とても嬉しくなった。


幸彦は生徒たちに好かれ、慕われていたんだ。


そう思うと、俺が一緒にいなくても立派にやっていってたんだなぁと、今更ながら実感した。


これからは俺1人でもがんばろうと、思えた。


でも、彼らが帰って1人でアルバムを見ていると、俺にとって一番の親友がもうこの世にはいないのだと思うと、急に寂しくなってきて、胸が押しつぶされそうで、耐えられなかった。


俺は幸彦を支えている気になっていたけれど、実は幸彦に支えられてきたのかもしれないなぁ》


遺書のはずなのに、その手紙には暖かさがあった。


人への憎しみや、この世への悲しみなんてどこにもない、ただ、兄弟と一緒にいたい。


その思いだけがつづられている。


「これってさ……」


聖也が小さな声で言った。


「少し変えられたんじゃないかな」


その言葉にあたしは涙が我慢できなくなった。


鼻の奥に刺激が走り、視界が歪む。


「……そうかもしれない」


そんなの、肯定するしかない。


聡さんの自殺を止める事はできなかった。