それから5日後の12月1日土曜日。

街中はクリスマス一色で空港にもクリスマスツリーが飾られていた。


「亜美、今年のサンタさんはトナカイが風邪をひいたらしくてプレゼントを持って来れないそうだ。だから郵送になるって言ってたぞ?」

「はいはい…」

風邪ね?クリスマスまで20日以上あるからインフルエンザとしても治るじゃないの? 

別にどうでもいいけどね!

私だってもうサンタさんを信じる歳じゃないからさ!

毎年サンタの格好をしてプレゼントを枕元へ置いてくれるパパ。

いい加減子供達が気づいている事ぐらい分かって欲しい。


「じゃパパ、今年は欲しい物は無いから要らないってサンタさんに伝えといて」

「亜美…」

とても寂しそうにするパパ。

はぁ…もう分かったわよ…

「…ああパパ! 私ねモコちゃんのお友達が欲しいのサンタさんにお手紙書いといて!お願いね」


モコちゃんとはウサギのヌイグルミで小さな頃パパ… サンタさんに貰ったもの。小学生までは私の添い寝役。

今は私の部屋の出窓で警備隊長をしている。


「うん! 分かったよ。ちゃんとサンタさんに手紙書いておく」

パパは私の返事に満足した様だ。

中学になった時、クリスマスプレゼントに携帯電話が欲しいと言ったらパパは『サンタの国の妖精はおもちゃしか作れないんだよ』と言って携帯電話は却下された。

そしていつもの様にぬいぐるみが枕元に置かれていた。

サンタさんの乗る空飛ぶソリを作れるくらいハイテクな妖精なんだから携帯電話作るくらいわけないと思うけど?

クリスマスプレゼントが高校生になってまでヌイグルミってどうかと思うけど?

まぁこれも親孝行という事にしておこう。


そしてパバ達はイタリアへと飛んだ。