「こんな格好でよかったかしら」

「十分綺麗だよ。それに、今日の主役はお前じゃないだろう」

「でも、あの子に恥ずかしい思いさせるわけにはいかないでしょう」




よく晴れた清々しい朝。
リビングではお父さんとお母さんが忙しなく話していた。
そんな様子を私は微笑ましく見ながら自分の準備を進めていく。



「よかったねぇ、一華ちゃん。おばあちゃんもいけたらいいんだけどねぇ」

「ううん。ありがとう、おばあちゃん。その気持ちが嬉しいよ。それに、今回は二人が来てくれるから」




今日は、とうとう私の高校の卒業式。
あの話し合いの後、両親は本当に日本への転勤願を出して先にお母さんが、4月からはお父さんもこっちに戻って来れることになった。



そして、初めて、行事ごとに参加してくれることになった。



お父さんとお母さんが私よりもはしゃいじゃってる、それが今の状況。