無事、専門学校に合格し慌ただしく引越しの準備が始まる。住み慣れた狭い部屋とはお別れ、10帖の新しい部屋が私を待っているんだ。
アニメのグッズやポスター、私物を詰め込んだダンボールや衣服や食器の詰め込まれたダンボールが次々へとトラックへと積み込まれていく。私のごった返していた部屋は何だか少し、ほんの少しだけ綺麗に…素っ気なくなった気がした。

「詩音、ご飯ー。食べたら運ぶでー」

階段の下からお母さんの声、返事をしては部屋を出る。徐に振り返り少し物の少なくなった部屋を見渡しては、もう此処には暫く帰ってこないんだと実感した。大好きなお母さんのご飯も食べられなくなる、そう思うと何だか涙が出そうで寂しくなった。
自分の部屋に頭を下げ、私は小さく

『行ってきます』

と、告げた。